第60回釧路地区母親大会

3

北海道母親大会にオンラインで参加したときに、視聴した記念講演の内容を要約してお伝えします。環境破壊の深刻さが大変よくわかりました。普段、目にすることのない海の中がどのようになっているか真剣に考えさせられた講演でした。

海から見た地球「気候変動・気候危機・気候正義」

  • 気候変動により、地球規模でのサンゴの白化現象が起きている。また、生物の多様性が喪失し、国内では、「磯焼け」現象が広がっている。
  • 1998年ころが一番ひどい。サンゴが白化すると瓦礫化し、死に至る。サンゴの海域がなくなると、魚がいなくなる。日本では積丹半島に海藻がなくなっている。これを磯焼けという。これが日本中に広がっている。江の島の海中は10年前繁茂していた海藻が今は全くない。海藻のないところには生命が住めない。海が酸性化している。

※サンゴの白化現象とは、サンゴと共生関係にある褐虫藻がサンゴから抜けだし、サンゴの骨格が透けて白く見える状態。そのためサンゴは死滅する。世界中のサンゴ礁で多くのサンゴが白化。

※磯焼け現象とは、海岸に生えているコンブやワカメ、その他多くの種類の海藻が減少し不毛の状態。

  • 太平洋の島々で命と生活を脅かすものがある。 60th太平洋の島々はサンゴでできている。気候変動がめちゃくちゃ起き、満潮のたびに島を侵食している。マーシャル諸島を訪問した時、住むところがなくなり、他の国に難民要請している。そこは、エアコンもなく車にもそんなに乗っていない。だれかが出しているCO2でだれかを犠牲にして成り立っている経済生活。気候正義という視点で考えていかなければならない。
  • CO2の排出量が最も多い国10か国の影響を極めてリスクの高い33か国が犠牲になっている。そこには、国家間の不正義がある。そして、リスクの高い国には未来がない。

海から見た地球「プラスチックスープの海」

  • 海の真ん中までペットボトルや目に見えないマイクロチップがプランクトンと一緒に回収する網の中に入ってくる。 60th5その他にプラスチックの繊維も入ってくる。気候変動と海洋プラスチックは同じ問題。
  • プラスチックは作ってもリサイクルしても大量のCO2を出す。それは熱を加えて処理するためである。

戦争と環境破壊

①戦争だけでなく、 その準備から戦後処理に至るまでの全てが、環境破壊の連続であり、地球を壊し続ける

  • 辺野古の基地建設は環境破壊。ジェットエンジンから出るCO2に加え二酸化硫黄や窒素酸化物など大量の汚染物質を排出している。
  • 戦後も環境破壊は収まらない。グアム島の海底には戦車などが海に捨てられている。

②何より一瞬にして人の命と地球環境を破壊するのは核兵器であり、若者の未来を奪う

  • マーシャル諸島は核のゴミ捨て場。アメリカは62回核の原水爆実験をビキニとマーシャル諸島のエニウエトク環礁で行った。その後、あいた穴にプルトニウムなどを含む汚染度の高い土、実験施設の鋼材などを埋めた。工事をした人たちは被爆した。これらの核廃棄物が水面上昇で海に広がり、放射能汚染している。チェルノブイリ原発事故、福島第1原発事故の放射能汚染値より、1000倍以上も高い濃度を検出している。太平洋の島々には障害を持った人が多かった。
  • ベトナムで使った枯葉剤は危険でこれ以上使えないと埋めた。日本では農薬に使っていた。それらを国有林に埋めた。北海道では、遠軽町、夕張市、標茶町、清水町、音更町、本別町に埋められている。
    一番多いのは九州。今、集中豪雨や土砂崩れが起き、気候変動によりよみがえっている。
  • 原発は存在するだけで海を温め、放射能や化学物質を海に捨てている。

③無意識に加担している戦争と環境破壊

  • ロシアから油やガスを買っているうちは戦争に加担していることになる。化石燃料依存からの脱却が必要。巨大な軍事費を再生エネルギーに使うことが大事。

④戦争も気候危機もエネルギー問題だ!今できることは!

  • 今、自分ができることはプラスチックフリー。 300品くらいつくっている。竹の歯ブラシ、2年で分解する。木材の廃材で作ったスポンジ。
  • ウミガメが絶滅の危機にある。それは、砂の温度が高くなっているため雌ばかり生まれる。116:1の割合で雄が生まれている。「116:1」のロゴが入ったスポンジを作り啓蒙している。

⑤個人行動の意義と社会変革

  • 当たり前のことから疑ってみる→一人の行動から集まって学習する機会へ→生活者が社会を変えるという高い意志→子どもにも伝える「声を上げ続ける行動」→誰かを犠牲にして成り立つ社会からの脱却→気候政策を持った政党への投票

⑥まとめ

  • 今人類は2つの深刻な危機(気候危機・平和への危機)を迎えている。
  • どちらも人間の社会経済活動が原因。人間はおろかな過ちを犯してしまうが、その過ちに気付き修正しようとするのも人間だ。
  • 海や地球環境は絶望的だが、絶望の中に希望がある!
  • 希望にむかって声を上げ続けることが重要だ。
inserted by FC2 system